photo by Ramona Forcella
こんにちは!ネット炎上ウォッチャーのもです!
ネット好きの方はご存じかと思いますが、現在巷では「貧困JK炎上騒動!」というのが話題になっています。
NHKが貧困問題を訴えかける女子高生のドキュメンタリー番組を放送したところ、人々の間で「なんだか変だぞ・・?」と話題になっているのです。
彼女は家庭の貧困状況のせいで進学もままならないことを語り、「もっと子どもの貧困の問題を知ってほしい!」とスピーチをします。
しかし彼女のツイッターを見ると、1000円オーバーの高級ランチを食べていたり、高級画材で絵を描いていたり、アニメ関係のグッズを買い込んでいたり、なんだかちょっぴり羽振りのよさそう(?)な生活ぶりが垣間見えてしまい、
「彼女はほんとに貧困者なのか・・?」
といぶかしがる声が殺到しているというのです・・。この炎上騒動の背景にはいったい何があるのでしょうか・・?
目次
貧困者の炎上叩きが流行っている!?
近年ネット上では「貧困者の炎上叩き!」が起きることが多くなってきました。
一体人々はどういう理由で貧困者をバッシングしているんでしょうか?また炎上のターゲットにされてしまう貧困者たちの間には、いったいどんな人物類型(キャラ、アーキタイプ)があるのでしょうか・・?
以下に「炎上しがちな貧困者」のパターンを、いくつか例示してみました・・。
生保無駄遣いキャラ!
まとめサイトとかでよく見かけるあの画像をご存じでしょうか。
「生保を受けているのに霜降り肉を買っているおばちゃん」の画像です。高級食材をごっそりと購入しながら「支給費が全然足りない!」と不満を漏らしているやつです。
またちょっと前に、お笑い芸人の「河本準一さん」が、生保不正受給関連の不祥事であやうく干されかけてしまうという騒動もありました。
ネット上ではああいう「生保無駄遣い」系の炎上騒ぎが何度も繰り返されてきました。
人々の間にはすっかり「生保無駄遣いキャラ」のような人物類型(アーキタイプ)が確立していて、貧困者を見ると「生保を受けているのでは・・?」とか「不正受給しているのでは・・?」といぶかし気な目で見る習慣が出来上がってしまっています。
貧困者・生保者にとってはずいぶん肩身がせまい時代になりましたね・・。
生活だらしないキャラ!
ドキュメンタリー番組とかでよく「借金まみれなのに毎日パチンコ屋に通うおじちゃん」の姿とかが報道されていますよね。
また、闇金ウシジマくんというマンガでは、サラ金に追われてるくせに「お刺身が食べたいよ~!」と駄々をこねる情けないおばちゃんキャラがいます(この画像もよくネットのコピペで目にします・・)
これらのキャラたちは、貧しい環境にいるのに生活を切り詰めることをしないで、どんどん自堕落な生活をして身を持ち崩していってしまいます。
こういう人たちを見ると、人々は「自分だって苦労してるんだからお前も努力しろ!」と、なんだかイライラッとする気持ちを抱いてしまうのではないでしょうか。
さらに「こういう怠け者がいるから自分たちの仕事が増えるんだ!」と、彼らを責めたくなる気持ちも湧いてくるのかもしれませんね・・。
プロ市民運動家キャラ!
メディアを使って盛んに「マイノリティーの権利」を主張する市民運動家、こういった人々はネット右翼の人たちにロック・オンされてしまう傾向があります。
「格差是正!貧困者に施しを!」とプレカリアート的な訴えかけをする人も、「左の陣営に組した人間」や「プロ市民」でないか厳しくチェックされます。
最近のネット界隈は保守的な論調が強いので、少しでも「左側」の匂いがする人間は敬遠されてしまいがちなのです(格差の問題とかは意外と保守派の人々と親和性が高いのではないかと思うのですが、それでも左派が運動をやっていたらNGみたいです・・)
テレビなどに登場して何か訴えかけたい場合は、できるだけ無色透明、バックに怪しい団体などが存在していないことが望ましいのだと思います(でないと激しいウヨ・サヨ論争の渦中に巻き込まれてしまうことになりかねませんからね・・)
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さて、今回の「貧困JK」はどのキャラのマッチしてしまったんでしょうか?
彼女は生活保護は受けていないと思うので、おそらく「生活だらしないキャラ!」「プロ市民運動家キャラ!」あたりの容疑がかかってしまったのではないでしょうか(そして身辺調査をされた結果、ポロポロと埃らしきものが出てきてしまったというわけです・・)
NHKの番組制作者の人たちも、真面目なドキュメンタリー番組がまさかこんな形で炎上してしまうとは、予想も付かなかったのではないでしょうかね。世の中何が炎上するか分かりません、まさにリスク社会の恐怖というやつです(もしかしてこのブログも炎上しちゃうかも・・?)
一番怒っているのは誰だ!?
「所得の格差」がますます開いていく厳しい世の中ですが、所得以外のことについても「ある格差」が広がっていると思います。
それは「同情の格差」ともいえるものです。
政府や民間団体が「幸福度調査」をすると、たいてい一番幸福度が低い層は「壮年の男性」だそうです(また「自殺率」が一番高いのもこの層の人々です)
「若者」や「女性」は経済的に困ったときや、生活面で困ったりしたときに、周囲からソーシャルサポート(社会的援助)が受けやすい状況にあるそうです。
しかし、生活に困窮した「おじさん」に対しては世間は冷たく、彼らは誰からも援助を得られずに放ったらかしのまま、相当ヤバい状況にまで追い込まれてしまうケースが多いそうです。
そういった意味では、今回の女子高生は世間から援助を引き出すための「最強のキャラ」をしていたのだと思います。
可憐な女子高生が「夢を叶えるために勉強がしたいんです!助けてください!」と社会に訴えかけたら、世間の人々は居ても立ってもいられず、すぐさま救いの手を差し伸べること間違いありません(言い過ぎでしょうかねこれは・・?)
こんな構図を見せつけられた貧困者のおじさんたちは「俺のことは誰も助けてくれないんだぞ!」「不公平だ、ズルい!」とブチ切れて、ネット上で女子高生をバッシングしたい気持ちも沸いてくるかもしれません。
そして、もしこんな風に女子高生を叩くおじさんがいたとしたら、世間の人々は「大人げない!」「自分で努力しろよ!」「自己責任だろ!」と、なんとも冷たい言葉を浴びせるのだと思います。
「不幸なおじさんたち」と「幸福な世間の人々」の間の溝は、ますます深まるばかりなのです・・。
新ワード誕生「ファッション貧困者!」
以前、ネットアイドルのうしじまいい肉さんが「童貞のことを過剰にアイデンティティにするな!」と世の男性たちを喝破して話題になっていました。
たしかに、最近「童貞」とか「メンヘラ」とか「オタク」や「ニート」といった、一見ネガティブな属性を自分に当てはめて、それを自身のアイデンティティのように身にまとうことが流行ってる気がしますね・・。
こういった「属性」に乗っかってキャラを演じようとする人々はおそらく
「ファッションオタク」
「ファッションメンヘラ」
「ファッション童貞(こんな言葉あるの?)」
とでも呼ばれて、「本職」の人々からなんだか白い目で見られてしまう存在なんだと思います・・。
そして今回の騒動で誕生した新たなワード、それが「ファッション貧困者」です!(SNSでも「このJKはファッション貧困者!」みたいな書き込みがいくつか見られました)
以前紹介した社会学者ゴフマンの話ですが、社会的排除の烙印「スティグマ」を持つ人々の中にも、「あいつは同じスティグマを持つ仲間だ!」とか「あいつは俺らと違う部外者!」みたいに、互いの仲間意識や序列を巡って言い争う構図が見られるそうです。
「貧困者のアイデンティティ」を持つネット民たちの間でも、「俺が最強の貧乏人!」とか「フッ、あいつはまだまだだな・・」といった、真の貧困者をめぐる覇権争い、つばぜり合いの構図があるのかもしれません(なんだか2chの「天下一無職会」を彷彿とさせますね・・)
おそらく今回の騒動の女子高生は、貧困者としてはまだまだひよっ子の「初級者レベル」であり、百戦錬磨の猛者たちの目からみたら「片腹いたい!」と一笑に付されてしまうレベルであったのかもしれません・・。
たしかに、私も現在相当経済的に困っている状況にはありますが、「天下一無職会」に登場する人々にかなわない気がします・・。
まとめ!
以上、「貧困JK炎上事変!」についていろいろ雑文を書き散らしましたが、いかがでしたでしょうか?
「ネット上の貧困者叩きの流れ」や「恵まれた女子高生をやっかむおじさんたち」や「貧困者同士のプライドをかけた闘い」といった様々な要素が絡みあいながら、この炎上騒動は広がっていったのだというのが、私の考えです(他にもいろんな要素がありそうですね・・)
個人的な感想なのですが、この騒動の女子高生はまだ高校三年生で世間のこととかも分からない年頃だと思うので、こんなにネット上でビシバシとフルボッコに叩かれてしまっては、なんだかかわいそうな気がしますね・・。
友達に暴露話をされたり、SNSで自宅を晒しあげにされたり、いろいろショックなことが続いてもしかして彼女は現在とっても傷ついて怖がっているのではないでしょうか・・。
ネット民の中には大変お怒りの方々もいるかと思いますが、未成年の子がやったことなので、生温かい目で見守りなんとか容赦してあげてくれないでしょうかね・・?(彼女がいったいどういう悪いことをしたのか私にはよくわかりませんが・・)