新コミュニティ誕生!~便所の落書き2.0~

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restroomphoto by トイレの看板のイラスト

最近わたしはまとめサイトと掲示板の中間のようなサイトを運営しているんですけども、ちょっと困ってることがあるんですよね・・。

それは、わたしのサイトのコメント欄への書き込みが、「ツイッター」や「フェイスブック」といった、よそのSNSに奪われてしまうということです・・。

サイトの訪問者たちに、記事についての感想文や意見などを書き込んでもらって、いろいろと議論をしてもらいたいんですけども、みんなはツイッターなどの「シェア機能」を使って、コメントをよそでつぶやいてしまって、なかなかわたしのサイトに書き込みをしてくれない・・。

「シェア」によって記事を広めてもらえることは嬉しいんですけども、でもやっぱり掲示板サイトとしては、コメントが付かなくなってしまうことは、なかなかつらいところがあります・・。

大袈裟な言い方になるかもしれませんが、コメントがよそに奪われることって、ある意味そのサイトの「コミュニティ性」が奪われるということに等しいと思うんですよね・・。

世の中のサイトのコメントを巻き取って自分のものにしてしまう最近のSNSは、ウェブ上の小さなコミュニティを吸収・解体する、「コミュニティ・クラッシャー」な側面があるのかもしれません・・。

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古き良きむかしの個人サイトを思い出すと、そこには記事(コンテンツ)を展示する機能と、みんなで話し合いをする掲示板(コミュニティ)の機能が、一体となって存在していた気がします。

でも最近の個人サイトは、掲示板(コミュニティ)の機能が、あまり使われなくなっていると思います。訪問者はそのサイトで記事を閲覧するけども、感想については自分のSNS上でつぶやいてしまうことが多いんです・・。

人々の気持ちになって考えてみると、こういう傾向が生まれるのはごく自然なことだと思います。たいしてアクセスのない辺境の個人ブログなどに感想を書き込むよりも、自分のSNSのアカウント上でみんなに向かって感想を書き込んだ方が、いろんな人たちに文章を見てもらえて、そっちの方がずっと楽しいと思いますからね。その気持ちはよくわかります・・。

最近の個人サイトは、掲示板(コミュニティ)機能が使われなくなって、ますます記事(コンテンツ)を展示するだけのサイトと化している。こんな風にコンテンツだけがポツンと置かれているサイトというのは、少々気を付けなくてはいけないことがあると思います。

それは、ネットの人々にとって、そのサイトの「コンテンツ」だけが目的となってしまって、「そのサイト」じゃなくてはいけないという、「固有性」が失われてしまう可能性があるということです・・。

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これはどういうことかというと、例えばYahooニュースについて話をしてみます・・。

Yahooニュースは、地方の新聞社やウェブマガジンなどと提携して、いろいろな記事を転載する形で公開しているサイトです。

Yahooニュースにアクセスして記事を読んでいる人たちは、自分が見ているものが「北海道新聞の記事だ!」とか「沖縄タイムスの記事だ!」といったことなどは意識していなくて、むしろ「Yahooニュースの記事だ!」と思って、見ていることが多いと思います。

こんな風に「コンテンツ」というものは、もともと掲載していたサイトからふわふわと遊離して、いつの間にか転載先のものにすり替わってしまうことがあるんです。

そして、Yahooには「ヤフコメ」という強力な掲示板機能があります。掲示板を使ってみんなでニュースについてワイワイと語り合うことには、そのサイトにコミュニティ性を生じさせて、訪問者たちを常連さんとして、強く囲い込む効果があります(なので最近の大手サイトは「コンテンツ」もさることながら「コミュニティ性」の方に強く力をいれています)

「コミュニティを制するものはネットを制する」とむかし偉い誰かが言っていた気がします。コンテンツを発信しているだけの媒体というのは、往々にして他の「コミュニティサイト」に記事をまるっと転載されて、見事に「食い物」にされてしまうことが多いんです(断りなく勝手に転載されてしまうことだってたくさんあるんですよ・・)

「そのサイト」でなくてはいけないという「固有性」は、近年はコンテンツを載せているサイトそのものよりも、それについてみんなでワイワイと言及できる「コミュニティサイト」の方に、宿りやすいのだと思います・・。

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なので、ツイッターを始めとしたSNSの中で、自分のサイトのコンテンツがたくさん拡散されまくって、コメントを付けられまくるということは、そのサイトの「コミュニティ性」や「固有性」を奪われることに繋がりかねない、ちょっと危険なことなんですよ・・。

ツイッター上で、様々なサイトのコンテンツ(イラスト・動画・文章)を見て楽しんだ人々は、きっとフォロワーの友達たちとワイワイと盛りあがり、「ツイッターで面白いものを見た!」と、元のサイトのことを忘れてツイッター社に対して好印象を感じてしまうことになるでしょう。

様々なコンテンツを提供しているサイトたちは、はじめは「ツイッターで拡散されれば良い宣伝になるな」なんて思うかもしれませんが、しだい自分のサイトから人を囲い込むパワーが衰えてきていることを感じはじめ、そのうちSNSの拡散にたいして懐疑的な目を持つようになることでしょう(初めからサイトにコメント機能などがないんだったら、まあそれでいいですけどね・・)

こういう事態を防ぐために、最近はユーザーをログイン制にして、SNSで拡散ができないようにしているサイトも多くあると思います。広大なネットの海に内容物をさらわれないように、防波堤を築いて徹底した保護主義を貫いているんです・・。

ピクシブやニコニコ動画なんかは、外部に対してあまり開放的ではない構造をしていますけども、そこにはおそらくこういった理由があるんだと思いますね・・。

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様々なサイトの「コミュニティ性」を吸収して、世界最大級のコミュニティサイトへと成長したツイッターですが、その内部にはなんだか特殊なコミュニティ構造が存在しています。

一般に「コミュニティ」というものは、あまりに巨大になるとその共同性を維持できずに、人々が分裂して「住み分け」を始める性質があると思います。

巨大なツイッター共同体の中で行われている住民の住み分け、それは「クラスタ」と呼ばれているものです。「クラスタ」は明確な境界がなくて、なんだかゆるふわとした不思議な住み分けの概念です。自分が何クラスタに所属しているのかも曖昧な人もいるし、複数のクラスタにまたがって所属してる人もいると思いますし、いろんなところが適当です。

この曖昧もこなゆるふわさは、住民同士の活発な交流を促して、新しい出会いや気づきのきっかけを与えてくれるものかもしれませんが、しかし時には激しい摩擦を生んで、戦争を呼び起こしてしまうこともあります・・。

例えば、同人の世界で隠れて活動していた二次元萌え萌え絵師の人たちがフェミニストな人たちと接触して戦争状態になってしまったり。保守速報みたいな隔離系ヤバまとめサイトで活動していた愛国烈士の人たちがポリティカルに正しい人たちと接触して戦争状態になってしまったり。

いくつかの悲惨な戦争の体験を経て、最近ツイッターは差別表現・憎悪表現・エッチな表現などを規制する方向に乗り出しているようです。ゆるふわ&玉虫色に何でも住み分けてしまいそうな「クラスタ」という概念にも、やはりその包摂力には限界があったんですね・・。

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最近ツイッターやフェイスブックやグーグルといった大手IT企業たちが協力して、ネット上から差別表現や暴力的な表現を排除する宣言をしました。

今まで2ちゃんねるばりのタブーなしで、罵詈雑言をいいたい放題だったツイッターですが、そこから排除されてしまった言葉たちは、いったいどこに行くのでしょうか・・?

それはきっと、言葉たちがもともと奪われた場所、その生まれ故郷に戻っていくんだと思います。大手SNSによって奪われたコメントたちは、まるで鮭の里帰りのように、母たる個人サイトたちの元へ再び返りつつあります。罵詈雑言や差別表現や性的表現といった、とってもピチピチの大人な姿に成長した形で・・。

むかしとある有名な掲示板が「便所の落書き」と呼ばれていましたが「便所の落書き」はさらに濃縮された「便所の落書き2.0」として、今ここに新しく蘇りつつあります。わたしのサイトなどでも、最近ツイッターでは通報されてしまうような、200パーセント名誉毀損なタレコミ情報がたくさん書き込まれます(よく弁護士の人などからわたしに削除要請のメールが届いてきて、毎日プルプルしながら過ごしています)

清廉潔白&ポリティカリーコレクトな「ホワイトウェブ」から産まれた闇の落とし子「ダークウェブ」は、これからムクムクとしだいに成長していく分野だと思います。そこは抑圧された言葉たちの住みかとなる、排除しても排除しきれない残余が宿る、否定性の場所です。それは見方によってはこう考えることはできないでしょうか。21世紀のネットは成熟してついに「グローバルな公の領域=自我」と「ローカルな私の領域=無意識」という二層構造を手に入れたのだと・・。

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コメント

  1. ちんくる より:

    最近ツイッターで見ないなぁと思いブログを拝見させていただいたのですが、元気そうでなによりです。
    ブログのみの活動に専念されるのでしょうか?

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