もう聞き飽きたと思うけど「なんでオタクは保守と親和性が高いのか?」

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前回の記事でちょっと触れましたが、「なんでオタクは保守主義に傾倒するのか?」という話、よくありますよね。グーグルでこれを検索すると散々いろんなブログがヒットして、この話はもう耳にタコかもしれません。

でも自分的にはなんだかしっくりくる説明が見つからなくて、なんだかモヤモヤするので、もう一度この話についてまとめてみたいと思います。

以下にするような説明が、私にはなんだか一番納得できるんですよね・・。

ネット右翼が生まれる前!

「ネット右翼」という言葉が生まれるずいぶん前ですが、私はよく2chに入り浸っていました(今も入り浸ってますけど・・)。あのときの2chの雰囲気って「ネトウヨ」の原型があると思うんですよね。

みんな優等生的なリベラルな考えが大嫌いで、ニュース系のスレで社民党のおばちゃん議員とかをよくディスっていたのを覚えています。

どこかの議員さんが言った「一発だけなら誤射!」とか「軍靴の音が聞こえる!」とかいう発言を冷やかしながら、超軍国主義的な「ヤバ発言」をたくさん書き込んで、彼らを挑発するようなことをよくしていました。

(当時は小林よしのりさんとかが流行っていたので、おそらくその影響もあってこういうノリをしていたのかと思いますね)

こういった「危険な遊び」がだんだん板についてきて、ネットの定番ネタとして定着しかけていたころ、「日韓ワールドカップ」が開催されました。

日韓ワールドカップを境に、一般人たちの間にもこういう「極右チック」な発言をして、「奴ら」をびびらせるゲームが、広まっていった気がしますね。

2chのオタク系ネット民たちは、「ネットウヨはわしが育てた!」と誇ってもいいかもしれません。

2chは悪の秘密結社!

今のオタクの人も、昔のオタクの人もそうだと思うのですが、彼らはちょっぴりヘソ曲がりで、屈折してて、世間に対して逆張り気質がある人たちが多いと思います。

ネット環境がまだ珍しかった当時は、今みたいな身も蓋もない「ぶっちゃけトーク」みたいなものを話せる空間は中々なくて、世間はまだまだ、お堅い「良識的な道徳観」みたいなものに覆われていた時代だったと思います(今となってはだいぶ人々の腹の底が透けて見えきたせいで、こういう雰囲気もだいぶ弱まった気がします)

オタク系ネット民の人々は、そういう世の中のなんだか口先だけの「優等生的なリベラル意識」みたいなものが気に食わなくて、世間のウソを暴き立てようと、いろいろと思いのたけを掲示板にぶつけてたんだと思います。

障害者をバカにしたり、女性の権利をコケにしたり、在日の人をディスったり、わりと酷い感じのことを半ば冗談半分のネタとしてみんなで書き込んでいましたね(まぁ今も似たような感じだと思いますが・・)

そういった「ブラックネタ」のレパートリーの一つとして「右翼チックな発言」というのがあったんだと思います。ネット掲示板という密閉空間のなかでブラックジョークを交し合う行為の裏には、自分たちを認めてくれない世間を冷笑してやりたい気持ちとか、皮肉ってやりたい気持ちとか、そんなものが根底にあったんだと思います。

ネット掲示板は、一部の内輪の人間だけで盛り上がる、「悪の秘密結社」のようなインナーサークルでした。世間の人たちは誰もネット掲示板なんか見てないので、どんな過激な発言でもとにかく書きたい放題だったんですね。

オタクという政治的コミュニティ!

私は最近社会学者ゴフマンの議論を聞いて、世の中の出来事にやたらとゴフマンの構図を当てはめたくなる中二病にかかっているのですが、彼の理論によると社会的に虐げられてる少数者(マイノリティ)は、同族者どうしでコミュニティを作って、「俺らを受け入れろ!」と社会に対して「政治的主張」を展開する傾向があるそうです。

オタクの人たちって、昔から社会の人々から白い目で見られてて、冷たくされているような、ある種の「マイノリティ」といっていい存在だと思うんですね(最近はずいぶん地位向上してきたとは思いますが・・)

オタクの人たちはネットととても親和性が高いので、ネット黎明期から熱心に掲示板に常駐して、そこをホームグラウンドとして「オタク・コミュニティ」を形成していました。

そしてネットが一般人たちの間に広まっていくにつれて、オタクの人たちの「政治的主張」も、世の中に伝搬していくようになっていったと思うんですよね。

オタク勢力の拡大!

オタクの人の政治的ポジションって、時と場合によって「右」であったり「左」であったりすると思います。

オタクの人は「女性の貞操」に対して大変きびしいので、性の話題のときは「保守的」な論調になると思います(アイドルとか声優さんに熱愛キャンダルとかが発覚すると激しい追及が始まりますよね)

逆に同人誌とかで描かれる過激な内容については、「表現の自由」に重きを置くリベラル派に変身すると思います(このせいでオタクの人とフェミ団体の人は犬猿の仲です)

元来オタクの人は「ウヨ」でも「サヨ」でもなく、オタク独自の政治的ポジションを持っている存在だと思うんですよね。

ネット黎明期のオタクの人たちは、掲示板でちょっぴりシニカルな面白発言を連発することで、ずいぶん自分たちのイメージアップに成功してきたと思います。

特に電車男が流行ったあたりから、世に「オタクキャラ」というのが認知され、わりと良い形で世の中に受けいれられ始めた気がします。

「オタクキャラ」がもつ好印象にあずかろうとして、モー娘の矢口さんとか中川しょこたんも、「オタク・カミングアウト」をして、親近感のあるイメージをまとおうとしていたんだと思いますね。

社会のマイノリティであるオタクたちが集まる「オタク・コミュニティ」の政治的な発言力は、いろいろラッキーな追い風もあって、年々高まっていったのだと思います。

ネトウヨはオタクの政治的主張の一つ!

ネットウヨ的な発言というは、初めはオタク系ネット民たちの「政治的主張」の一形態だったのだと思います(ゴフマンのいうような「政治的主張」です)

オタクの人たちがウヨクの衣をまとって主張していたのは、

・オタクコンテンツに攻撃を仕掛けてくるフェミ団体への反発
・オタクにレッテル貼りをしてくるインテリ知識人への反発
・世間の気に食わない押しつけリベラルへの反発
・性に奔放な女の子たちへの牽制

とか、そういう類のものだと思います。

こういう主張を「右翼的なポジション」をロールプレイしながら、表現していたんだと思います。

今のネット右翼は、ずいぶん主張が極性化して過激になったり、モノホンの保守団体に吸収されたり、当初の姿とはちょっと違うものになってしまったかもしれませんが、原点の形としては上記のようなところがあったのだと思います。

今では「ネット右翼」はオタクたちの手からずいぶんと離れて、独立した「ネトウヨ・コミュニティ」とも言えるほどの、大きな一ジャンルを築くほどに成長した感がありますね。

きっとこういう「保守的なもの」には、オタクじゃない一般人たちの共感も呼ぶような、なんらかの魅力があったんだと思います。

海外でも「保守陣営の勢力」が台頭してきていると、ニュースとかで報じられていますものね。

オタクは保守と親和性が高いのか?

タイトルに「なんでオタクは保守と親和性が高いのか?」と書きましたけども、実はこれはちょっと違うと思うんですよね。

オタクの人は、「ネット右翼」と部分的に親和性があるかもしれないけども(自分たちがある意味生みの親ですからね)、モノホンの「保守主義」とはそんなに親和性は高くはないのだと思います。

特に「愛国心」とか「国粋主義」とか「伝統主義」とか「天皇主義」とか、そういうのはかなり興味がない事柄なのではないでしょうか(ミリオタの人は「軍国主義」とかは好きそうですが・・)

こういう主張に本気でノッてきているのは、おそらくオタク系ネット民たちが作った「ネット右翼コミュニティ」に、あとから入ってきた参加者たちなんだと思います。

自分たちの手を離れて、どんどんマジモノの「保守政治団体」としての肉付けがされていく「ネット右翼コミュニティ」に、面白がってどんどん乗っかっていったオタクの人もいたかもしれませんが、反面なんだか抵抗感を抱いて去っていったオタクの人も、少なくなかったのではないでしょうか。

デモや集会で決起している「オラオラ系の人たち」とか、フジテレビに猛抗議をする「主婦たち」とか、こういう人たちはかなりオタクとは相いれない人種だと思いますからね。

オタク人のたちは、ただ自分が言いたいことを言うために部分的に「右翼的なもの」の衣を借りていただけで、あまりガチっぽいウヨ・サヨ闘争に巻き込まれるのには、正直気が進まないところもあったのではないかと思います(逆にそういうのが大好物の人もいたのかもしれませんが・・)

ネトサヨに移るオタクが増えている?

以前評論家の宮崎哲也さんがラジオで、「今はネット右翼が流行っているけども、これからはネット左翼が増えていくのではないか?」ということを話していました。

「右翼的なモノ」には、なんだかダークで、反社会的で、アンチリベラルで、いかにもオタクの人たちを引きつけそうな「ヤバい」雰囲気がありますが、負けじと「左翼的なモノ」にも暗黒面があります。

この「サヨクのヤバさ」に魅かれて傾倒していくネット民が、これから増えていくのではないかという話でした。

活動家の雨宮処凛さんも、初めは「ゴスロリ右翼」として有名でしたが、後に「左翼活動家」に転身したことで有名です。こういう風に、右から左にポジションをコンバートすることは、そんなに珍しいことではないのかもしれません。

たしかに最近ネットの中では、もはや多数派になってしまった「ネトウヨ・ポジション」に対抗する形で、「ネトサヨ・ポジション」が鎌首をもたげつつあります。

「日本死ね!」とか「中世ジャップランド潰れろ!」とか「オリンピック中止!」とか、そんな感じの主張ですね。

以前のネットの世界では、自分が所属できるネット・コミュニティの種類はあまり多くありませんでしたが、今では「カンブリア大爆発」が起きたかのようにいろんなタイプのコミュニティがたくさん存在しています。

現在オタクの人たちの中に「ネット右翼」が数多く存在するように見えるのは、おそらく上記で述べてきたような歴史的経緯があるからだと思いますが、これからオタクの人たちは「ネット右翼」側から「ネット左翼」側に勧誘されたり、逆に「ウヨサヨ論争はもういやだ!」とニュートラルに戻ったりする人も増えてくるのではないかと思います。

「ネット右翼」の中のオタク人口は、だんだん減ってくる傾向にあるのではないかというのが、私の感じているところですね。

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コメント

  1. 匿名 より:

    ネットと現実のコネクションが強まり、不平不満をアニメ・マンガという形で解消してきた層が自民党(保守)に取り込まれる形となった。オタクたちは市民権を得たと感じそれに従属する。
    また、社会から孤立していた層の受け皿となっていたアニメ・マンガ文化が大衆のメインカルチャーとして吸い上げられることによりオタク間での格差やヒエラルキーが構築されることとなる。現実社会とまったく同じに恋愛強者や金銭強者が幅を効かせる市場となった。
    つまりアニメ・マンガ文化が個人にとっての内向的な夢や希望ではなく、国家にとっての外交的な国策・市場として扱われるようになった。
    そのため現代の10代にとってアニメ・マンガそれに属するコンテンツ(ニコ動など)は自由や希望の象徴ではなく、権力と名声の象徴と化した。
    しかし貧困な子供たちほどアニメ・マンガで描かれるわかり易い自由や希望のアイコンに拠り所を求め、確実に搾取されていく。裕福な子供たちは貧困層より簡単にアニメ・マンガに金を使えるが、飽きればスポーツや音楽や教育に切り替えられる余裕もある。
    結果として貧困者はわかりやすい架空の自由と希望を引き換えに、残酷な現実の生活を受け取ることになる。
    アニメ・マンガ文化は若者に本物の夢や希望を与えず、巨大な利権によって富を生む保守富裕層に金を吸い上げる見事な流れを構築した。
    保守がアニメ・マンガを囲い続ける限り、ネット左翼が台頭することは難しい。こうした流れからネット左翼は反オタクである可能性がある。
    アニメ・マンガオタクはわかりやすい物語での勧善懲悪が好きなので、ネトウヨ的なデマや愛国心に心酔しやすいというのも一つ。

  2. より:

    わぁ素晴らしいコメントをいただいてありがとうございます!
    以前、速水健朗さんという方が「フード左翼」と「フード右翼」という言葉を使って本を書いていたのを思い出しました。「左翼系」の人はオーガニックな高級食材を好んで、「右翼系」の人は吉野家的なジャンクフードのような食材を好む傾向があるという話でした・・。
    あと、この前ラジオで東浩紀さんが話していたのですが、ある「サービス」や「商品」そのものに「右翼系の人」や「左翼系の人」を誘引するような要素があるのではないかと、指摘していました(東さんはニコニコのような短文でコミュニケーションをするサイトは右翼系の人が集まりやすいと話していました)
    この線で行くと、たしかにアニメ・マンガみたいなサブカル的なジャンルには、右翼系の人に親しまれる何かがあるのかもしれませんね(海外のニュースサイトでも、ツイッターのアニメアイコンの人は保守思想に染まりやすくトランプ支持派が多い、みたいなことを書いてある記事を読んだことがあります・・)

  3. ささ より:

    オタクにはアイドルのファンが多いからですよ
    アイドルってゴシップを聞く限りろくでもない
    ゴロツキ朝鮮人が私生活で寄ってきますからね。
    この手の噂は日本人なら誰もが聞いたことがあるでしょ
    あの日本の誇りである◎◎ちゃんにチョンが手を出すとは
    何事だ!成敗してくれる!っていう心境なんですよ

  4. ささ より:

    やたら体を鍛えてるやつとか、西新宿で横死した人とか
    いっぱいゴシップになってきたじゃないですか

  5. mars より:

    ヲタクはほぼほぼ保守というかネトウヨですね。一時期私も保守に転びましたが、大流行(小泉政権)前には保守やめました、自称右翼の天皇批判に大激怒しちまいました。
    その後、というか同時期かに一水会がヲタクの言うとこのリベラル寄りになり、よしりんや古株の軍事研究家もネトウヨとは距離を置くか敵対関係になりました。
    今一番ネトウヨ、つまりはヲタクと仲がいいのは上記のオラオラ系DQNと表現規制派の保守系フェミ団体ですね。昔はアイドルファンはヲタクじゃなくて一般人の中の問題児カテゴリーだったのが、いつの間にやらというかAKB商売からヲタクカテゴリーに突っ込まれ、いつしかヲタクのトレンドリーダーを乗っ取っちゃいました。
    でもお陰でヲタクの人達はすっかりマジョリティーになれたのでナニされても文句言わないし、コミュニティーから放逐されるのが怖くて保守団体に迎合してるんだと思います、DQNの使いっ走りでヘラヘラ喜んでるあの状態です。

  6. 匿名 より:

    ニコニコによくいるタイプのアニオタネトウヨを保守と一括りにするのは勘弁して欲しい

  7. 匿名 より:

    保守というのはまだ議論の余地がある存在。
    会話が通じる相手。
    ヲタと親和性が高いのは初めっから結論ありきの
    自分の価値観を他人に押し付けるネトウヨ。
    「◯◯は神アニメだから見ろ」とかウザい。

  8. 匿名 より:

    なかなか面白い考察だった。

    特にいかに初期のネットコミュニティが進展してきたかという箇所。それだけが答えかは分からないけど、いくらか的を得てるのではないかな。

    自分は左寄り(民主とか朝鮮とかそゆメディアのでっち上げな胡散臭いネオリベラル左派じゃなくて、パンク的というか奔放な自由急進主義的な意味で)だけど、右とか左以前に生い立ちや気質が絡んでると思う。その気質の上に政治的嗜好という衣を羽織ってるだけで。宗教と政治が(日本は表面上ながら政教分離してるという形を取ってるにせよ)実は同じカテゴリーであるのと変わらないかと。

    なんでこの話を調べたかというと、元々アニメオタクのおっさんがなぜ奔放な女性を叩くのかってとこなんだけどね。まーそれは単なる「あのビッチはイケメンにばかりくっついてなんで俺たちには〜!」って安っぽい嫉妬から来るルサンチマンだろうけどさw

    面白いブログですね。では。

  9. より:

    私の大好きな日本の美少女が外国人のごろつきどもに付け狙われてる!っていう憤りがあるからですよ。アイドルファンとくに広末涼子のファンにその傾向が強い。この人は在日コリアンと疑われてる半グレメンバーにさんざん性的搾取を受けたという噂ですから。広末オタはモーヲタやアニメオタに以後転向することが多くオタの源流ともいえる存在ですからね

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