photo by LearningLark
この前CNNのサイトを見ていたら面白い記事を見つけました。
今巷で秘かに「卒婚」というのが流行っているそうです。卒婚とは「結婚からの卒業」を意味します。最近「結婚」というワードに過敏に反応してしまう私としては、なんだか気になる記事です・・。一体どんなことが起きているのでしょうか・・。
というわけで以下、アメリカCNNの Jenni MarshとJunko Ogura さんのコラム「Graduating from marriage in Japan」の翻訳です!
卒婚は離婚とは違う!
ニシ・ユリコさん(68)は、子供たちが独立して家を出て行くときに、36年間連れ添った夫にある質問をしました。
「私たちの結婚生活はあなたの夢の邪魔になりましたか?」
ニシ・ユリコさんは語ります。
「私達がこれからどういう道を歩んでいったらいいのか、とても悩んだんです。これは私達家族がもっと良い形になるためのチャンスなのかもしれないと感じました。」
ニシさん夫妻は、子供たちも含めて今後のことを互いに話し合いました。そして、彼女たちは結婚関係から卒業(卒婚)することに決めました。
「卒婚」は、高齢化が進む日本という国で生まれた考えです。「卒婚」は「離婚」とは別の意味を持ちます。「卒婚」する人たちは、互いに愛情を失ってしまったわけではありません。彼らは別々の場所で夢を追いかけて、別々の場所で一緒に生きることを選んだ人たちなのです。
別々の場所で一緒に生きる!
イトウ・ヨシヒデさん(63)は、東京で数十年間ずっとカメラマンとして働いてきました。彼は妻のニシ・ユリコさんに「老後は故郷の三重で農業を営みながら過ごしたい」と話しました。しかしニシさんは、東京でファッションスタイリストの仕事を続けたいと思いました。
彼女は語ります。
「彼は月に一度私のところに訪ねてきます。そして私は週に一度彼のもとを訪ねます。」
「二人の間の距離があって、少しくらいお互いをさみしく思った方が、愛情を維持するのにちょうど良いんです。」
「私達の結婚生活はうまく行っていると思います。私達は別々のライフスタイルを二人で共有しあってるんです。」
二人は今度会ったときに夜のデートをする計画を立てているそうです。
結婚からの卒業!
「卒婚」という言葉は、杉山由美子さんの著作「卒婚のススメ」(2004年)で初めて登場しました。
杉山さんは語ります。
「日本は家父長的な伝統がある国で、一般に夫は大黒柱として家族を率いて、妻は家事をしながらそれを支えるというイメージがあります」
「なぜ夫婦は離婚をしないと自由に活動ができないのでしょうか?結婚したままでそれを可能にすることはできないのでしょうか?」
社会の仕組みが変わっていく中で、日本人の公共に対する意識も変わりつつあります。特に女性たちの意識の変化は顕著です。
政府の調査によると、2014年には日本では100万人の赤ちゃんが生まれました。この数値はアジアの中でもかなり低い水準です。さらに、日本人女性の平均寿命は世界でも最も長く86.83歳です。
お茶の水女子大学の教授、石井クンツ昌子さんは語ります。
「子どもの巣立ちのあと、多くの女性たちは夫のために家事をこなす以外に何もすることがありません。」
「もっと自分の趣味や幸せを追求した方が良いのではないかと、感じている女性は多いはずです。」
夢を追うための卒婚!
ヤマモト・カズミさんは30~60才の女性たちに対して「卒婚セミナー」を開催しています。
彼女はセミナーで、夫に対して「卒婚」の説得をするためのレクチャーをしています。ヤマモトさん自身も去年「卒婚」をしていて、今は東京で美容クリニックを営んでいます。
卒婚を提案するのは主に女性側からであることが多いそうです。夫は初めは提案にとてもびっくりしてこう訊ねます。
「どうやって一人で食べて行くつもりなんだ、商売をしていくのはとても大変なことなんだぞ?」
「私は卒婚に何色を示す男性は、少々自己中心的なのではないかと思います。」とヤマモトさんは語ります。
セミナーでは様々な理由から卒婚したがる女性たちがいます。
「私は夫と何も話し合うことがありません。彼は私のことをまるでメイドのように考えているみたいです。でも私は離婚はしたくないんです。もし将来身体を悪くしたときに孤独だと困りますから。」
「夫は私と一緒に実家に戻って彼の両親の介護をさせたいと考えているようです。でも私はそれが嫌なんです。私は旅行に行ったり友達たちと一緒にいながら、老後を過ごしたいと思っています。」
卒婚をする有名人!
芸能人の中にも卒婚をする人達がいて話題になったことがあります。
有名なのは2013年、清水アキラさんが卒婚宣言をして「卒婚: あたらしい愛のかたち」という本を出版したことなどです。
日本で「卒婚」をしている人口がどれほどいるのか公的な調べはありませんが、2014年に東京で行われたある調査では、卒婚が人々の間でたいへん大きな需要があることが分かりました。
この調査では、200人の既婚女性(30歳~65歳)にアンケートを取り、そのうち 56.8%が最終的には「結婚からの卒業」を望んでいました。
女性たちにとって仕事を退く「定年」の時期は、卒婚に踏み出すための理想的なタイミングなのだそうです。
奥さんには親切にしてあげましょう!
日本人男性は考え方を変えなくてはいけない時期に来ているのかもしれません。
2007年に制定された法改正により、離婚の際に妻が夫に対して財産の半分を受け取る権利が補償されました。
この法律が決まったとき、人々の間で離婚率が急激に増加してしまうのではないかという懸念がありました。
「全国亭主関白協会」は、従来の頑固一徹な亭主像からの方向転換を図り、男性に対して、離婚を防ぐためにもっと妻を尊重して、様々な気配り(例えば家事を手伝ってあげたり)をするよう呼びかけています。
現在安倍総理大臣は、女性を経済成長の柱であると位置づけて、女性の社会参画を促す政策を進めています。
「アベノミクスはウーマノミクス」と彼は「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」で宣言しました。
2014年時点で、日本人女性(15~64才)のうち64%が働きに出ています。1969年時点ではこの比率は46%でした。
石井クンツ教授は述べます。
「現在は多くの女性が働きに出ていて、しっかりと収入を得ています。」
「女性たちは、男性に頼らずに一人で生きて行くことも可能であることを、十分に知っています。」
イトウさんにとってこのことは重大です。
「妻の生活が夫の収入に支えられている場合、それを本当に卒婚と呼んでいいのかどうか分かりません。」
「妻が夫とは独立して生計を立てられるようになって、初めて卒婚と呼べる状況になるのではないでしょうか。」
個人化する家族!
「日本の家庭像はしだいに変化してきています」と石井クンツ教授は述べます。
「家庭はより個人主義化してきています。家族と一緒に過ごす時間よりも、それぞれ自分の見たいものをみて、自分のほしいものを消費する時間を大切にするようになっています。」
複数の世代が同居する大家族の構成は、現在の日本では珍しくなってきています。夫婦が別々の寝室で寝ることも、今日では普通のことです。「卒婚」はおそらくその個人主義化がいきつく最終地点だと思います。
結婚という伝統的な束縛から卒業することは、愛情を失うことを意味しません。
ニシさんは笑顔でこう語ります。
「夫と別居してから前よりも彼を愛おしく思えるようになりました。もしもう一度誰かと結婚するならば、もう一度彼としたいです。」
まとめ!
以上、CNNのニュースコラム「Graduating from marriage in Japan」でした!
結婚からの卒業「卒婚」、私の知らない間に日本ではこんなことが流行っていたのですね・・。
なんだかせっかく一緒になった夫婦が、お別れして離れ離れになってしまうなんて、ちょっぴりさみしい気がしますね・・。
でもお互いに目標や夢を持って、前向きに別々の道を行く決断をしたのだったら、仕方がないのかもしれませんね。
この記事に登場する夫婦の方もちゃんと上手くいっているみたいだし、これからの時代こういう新しい家族の形が次々と生まれてくるのかもしれません。
でもやっぱり私がなんだか心配になってしまうのは、独り身になった旦那さんの方です。
最近「キレる老人」という現象が話題になっています。警察庁の調査によると、ここ10年くらいかけて高齢者の犯罪件数が急速に増加しているそうです。
高齢者が犯罪に至る動機は「貧困」の問題に加えて「孤独」の問題も大きいそうです。独り暮らしで頼れる人がいなくて、孤独感や鬱屈感を溜め込んだ高齢男性が、感情的に爆発する形で「キレ」てしまうというケースが多いそうです。
昔は「キレる若者」を揶揄していたおじさんたちも、今度は自分たちが「キレる老人」になってしまったというわけです。
ここでポイントなのは、暴力事件を起こすのが「男性」の独居老人だという点です。一般に「女性」はコミュニケーションが上手な人が多くて、新しい環境に置かれても友達を作る能力に長けているそうです。でも「男性」はいわゆる「コミュ障」な人が多くて、周囲に対して壁を作って孤立してしまう傾向が高いそうです。
定年を迎えて、奥さんと離れて独り身になってしまった男性は、社会的に孤立しないように気を付けた方が良さそうですね。何か社会活動に参加するとか、この記事に登場する夫妻のように定期的に会って交流するとか、いろいろ世の中と接点を持たないとヤバい気がします。
高齢男性の方は私のように引き込もりになったら黄色信号ですよ m9(`・ω・´)ビシッ
参考サイト・参考文献:
参考「Graduating from marriage in Japan」, CNN(2016)
参考「高齢犯罪者の特性と犯罪要因に関する調査」, 警察庁・警察政策研究センター(2013)
コメント
セックスしても別に生まれ変わらないですよ。「セックスしても思ったほど特に変化などなかった」と分かるだけです。
ブログで失礼しました…。