コミュ障の構造!失敗が恐くて人付き合いを避けてしまう心理とは!?

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photo by Anne Worner

今日も部屋に閉じこもって人間と会話を交わさなかった私ですが、ぼんやりと考えていました。いったい人はなぜ孤独に陥ってしまうのでしょうか・・。

この前「無縁社会の正体」という本を読んだのですが、社会から孤立して無縁状態になってしまった人々が、相当ハードな状態にあることが記されていて、なんだか鬱々とした気分になってしまいました・・。

最近の研究で、孤独に陥りやすい人にはある種の傾向があることが分かってきたそうです。

以下は、アメリカの社会心理学者ミーガンL.ノウルズさんが語る「孤独に陥ってしまう人々の傾向」です!

孤独は健康に悪い!

近年の研究で、孤独に陥った人は心理的なリスクだけではなくて身体的なリスクも増大することが分かってきました。

例えば、孤独に陥った人は死亡率が26%も上昇します。これは肥満に伴う死亡率の上昇に匹敵するものです。孤独はこれほどまでに人々に深刻な影響を与えます。

心理学者や社会学者たちは、人々がなぜ孤独に陥るのか、その原因について長年調査を進めてきました。

孤独が孤独を深めていく?

孤独には「孤独がより孤独を深めていく」という傾向があると言われています。この傾向について、従来の研究では以下のような説明がなされています。

孤独な人は社交スキルに乏しいため、独りでいることを好みます。そして、社交スキルを上達させる機会に恵まれずに過ごしていく中で、ますます人付き合いが苦手になり、ますます孤独を深めていってしまうのです。

しかし、最近の研究でこの考えに誤解があることが分かってきました。

実は、孤独な人々は社交スキルの重要性をよく理解していて、ときには孤独でない人々よりもコミュニケーション能力を発揮することもあるのです。

しかし、彼らは実際に人付き合いをするシーンになると、窒息するような、居たたまれないような気分に陥ってしまい、相手を避けてしまうようなのです。

それはいったい何故なのでしょうか?

ノウルズの感情読み取り実験!

心理学者ミーガンL.ノウルズらは「journal of Personality and Social Psychology」に投稿した論文で、孤独な人が社会的なプレッシャーに晒されたときの傾向について考察をしています。

ノウルズらは以下のような実験を行いました。実験の参加者として86人の学生を集めて、26枚の人々の顔写真を見せました。そして、顔写真の人々が「怒り」「恐怖」「幸福」「悲しみ」のうち、どの感情を抱いているかを回答させました。

ノウルズは一部の学生たちに「このテストは人間の社交スキルを測るものです」「このテストがうまくいかない人は社交スキルが低くて友達を作れない傾向があります」という説明を与えました。

また、他の学生たちには「このテストはたんなる頭の体操です」と説明しました。

学生たちにはあらかじめ「自分がどのくらい孤独か」を測定する心理テストを実施していて、ノウルズは「孤独なグループ」と「孤独でないグループ」を把握しています。

実験の結果、孤独なグループの人間ほど感情の読み取りテストの点数が悪いことが分かりました。

しかし興味深いことに、点数が悪かったのは「このテストが社交スキルを測るもの」と説明されたときだけなのです。

それどころか、孤独なグループの人間は「このテストは頭の体操です」と説明されたときには、むしろ孤独でないグループよりも点数が良かったのです。

プレッシャーがコミュニケーションの失敗を引き起こす?

最近の研究で、孤独な人々は周囲の人々の表情や声色から、感情を正確に読み取る傾向があることが示唆されています。

孤独は人々は、対人関係にある種の緊張感や息苦しさを感じていて、それがゆえに相手の感情のきっかけによく気づき、よく理解する傾向があるのだと考えられています。

人は「ヘマをしてはいけない」という状況に立たされると、プレッシャーや考えすぎによってかえって失敗を引き起こしてしまうことがあります。

野球選手が精神的な重圧のためにミスしてしまう「イップス」や、ナーバスになりすぎた受験生が試験で誤回答してしまうことなどがいい例です。

先の実験で、孤独な人々が感情読み取りテストに失敗してしまったのは、自分の社交スキルに自信がなくて、それを測定されることにプレッシャーを感じてしまったためではないでしょうか。

孤独な人々はそういった「失敗」を避けるために、人と距離を置きたがるのだと思われます。

認知の置き換えでプレッシャーが軽減された!

ノウルズらはもう一つの実験を行いました。

実験の条件は前回と同じですが、今度は参加者たちに栄養ドリンクを飲ませてこう言いました。「もし不安感やそわそわ感といった違和感を覚えたら、この飲料のカフェインの効果が現れている証拠です」と。

しかし、この飲料には実際にカフェインは含まれていません。

そして、前回の実験と同じように「このテストは社交スキルを測定するものです」と説明を与え、参加者たちに感情読み取りテストを実施しました。

その結果、孤独でない参加者の点数は特に変化が見られませんでしたが、孤独な参加者の点数は改善が見られました。

自分がテストされることへの不安感・圧迫感を「これはカフェインが効いているせいだ」と、生理的な理由に原因をもとめることで、精神的なプレッシャーを払うことができたということです。

緊張感でいっぱいの頭の中から抜け出す!

ノウルズは以下のように語ります。

基本的に、孤独な人々は無理に自分の社交スキルを向上させようと努める必要はないと思います。彼らに必要なのは、まず自分の頭の中から抜け出すことです。

失敗へのプレッシャーに対して過敏になりすぎないように自分の思考方法を変えていくこと、そして、自分がすでに身に付けている社交スキルを使って、カジュアルな態度で人付き合いを始めていくことができれば、今の孤独の状態から十分に抜け出すことができるはずなのです。

まとめ

以上、ミーガンL.ノウルズが語る「孤独に陥ってしまう人々の傾向」でした!

「人付き合いで失敗することが恐くて人付き合いを避けるようになる」まさに自分のことを言われているようで耳の痛いところです・・。

ノウルズさんは人付き合いがうまくいかないことをスポーツの「イップス」になぞらえていましたが、イップスにかかってしまう人もやはり「生真面目」「完璧主義」「他人の評価が気になる」「自信を失いやすい」といった、対人恐怖症と似た傾向を持っているそうです。

上記の実験では「カフェインを飲ませた」とウソを教えることでテストの結果が改善されたことが記されていますが、これは「情動のラベリング」によって不安を軽減させたということなのだと思います。

自分の身体に起きた興奮状態を、自身の内面の理由ではなくて外部の理由に原因帰属させることで「自分が脅威に晒されることはない」と認知をすりかえることに成功して、感情を抑えることができたということです。

「最近ちょっとスランプ気味・・」みたいに、今までうまく出来ていた人が一時的に不調に落ち込んでしまったときは、このようなちょっとしたメンタルの工夫がうまくいくかもしれません。

自分が気楽になるような思考方法の変換、認知の仕方のリフレーミングによって、物事への効力感・自分への自信が回復して、再び軌道に乗りだしたりすることはありえます。

しかし、私のように「生れ落ちたときからスランプ続き」といったような人間には、こういう小さなコトではなかなか改善されない気もします・・。

私のようなタイプはやはり、そもそもの価値観や世界の認識の仕方といった自分の土台を作り直す必要があり、そのためには長期戦、長く腰を据えた態度で取り組むしかないのかと・・。

そのためにも、こういったメンタルのことに関する知識を仕入れておくのは有効なことだと思います。自分の状態を内省的にとらえるときに役に立つますからね。

自分の状態を客観的に観察する行動を「セルフモニタリング」というそうです。セルフモニタリングによる行動認知療法もイップスに有効だそうなので、このままブログを続けていけば、私の素行も改善されていくのかもしれません・・。


参考サイト・参考文献:
参考「Why Lonely People Stay Lonely」
参考「投・送球障がい兆候を示す中学校野球部員の心理的特性」賀川昌明・深江守 鳴門教育大学研究紀要 vol28

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