BBCニュース「日本の野党に女性ハーフのリーダーが誕生したゾ!」

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Renhophoto by Wikipedia 蓮舫

イギリスBBCニュースのサイトで「民進党の蓮舫さん」の記事が載っていました。

私の大好きなモーリー・ロバートソンさんも取材に協力していて、とっても気になる記事なので、頑張って翻訳してみました!

以下、BBCニュースの記事の翻訳
「Japan’s opposition chooses female, half-Taiwanese leader Renho」
です!

「初の女性台湾人ハーフのリーダー!」

今月15日、蓮舫さんが民進党初の「女性リーダー」として選ばれました。彼女は初の「ハーフ(混血)」のリーダーでもあります。彼女の選出により、女性やハーフの人々を覆う「2つのガラスの天井」が破られたことになります。

彼女の父は台湾人であり、母は日本人です。日本では、新生児の2~3%が「ハーフ」の生まれであるといわれています。

彼女がリーダーに選ばれたことについて、現在様々な議論がなされています。彼女にはまだ台湾の市民権が残っていて、それを嘘をついて隠しているのではないかと追及されているのです。このような「二重国籍」は日本では認められていません。異なる国籍を持つ父母から生まれた子は、22才になるまでに一つの国籍を選ばなくてはいけないことになっています。

彼女は17才のとき、父によって台湾の市民権を放棄する手続きをしてもらったと主張しています。しかし、市民権放棄の手続きが台湾語で行われていたため、詳細がよく確認できないと述べていました。その後、台湾側に正式な確認を求めたところ、彼女にはまだ市民権が残っていることが判明したのです。彼女はすぐに台湾に市民権を放棄する手続きを依頼し、今回の騒動に関して謝罪を表明しました。

しかし追及はまだまだ続き、争点は彼女の政治的キャリア全体にまで及びつつあります。彼女を批判する人は、「彼女の二重国籍の問題よりも、彼女が嘘をついていたことが問題なのだ」と述べています。しかし彼女は、「これは嘘ではなくて勘違いだったのです」と反論しています。

今回の一連の出来事は、「日本はハーフ(混血)のリーダーを迎え入れる準備ができているのだろうか?」という問題点を浮かび上がらせることになったと思います。

「薄氷の上を歩いて生きる人!」

「混血」であることは日本では珍しく、2014年の調査では新生児のうち3.4%が、日本人以外の親から生まれたといわれています。

「ハーフ(hafu)」とは日本語で、二つの人種にまたがる混血であることを意味します。ハーフの人はエキゾチックな容姿をしていて、芸能界の中にもハーフの人気者がたくさんいます。しかし、それは多くの場合白人系(コーカソイド)です。

「日本のメディア業界や社会全体には、白人系の容姿をしたハーフを好む傾向があります」

と、ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんは語ります。モーリーさんはアメリカ人と日本人のハーフです。

「私は非白人系のハーフの人に比べたら、ずいぶんよい待遇を受けてきたと思います」

実は私(筆者)の娘もハーフで、娘は私の夫の特徴を受け継いでいて、パッチリとした瞳や長いまつ毛が可愛らしいとよく褒められます。こういう風貌は、日本の少女だったらみんな憧れると思います(私もときどき羨ましいと思うことがあります・・)

モーリーさんはこう述べます。

「しかし白人のような容姿をしていても、なかなか不便なこともあります。こういった容姿はあこがれの対象にもなりますが、いったん社会的な空気に背くと、突然強い偏見の目に晒されることもあります」

「もし会社のミーティングなどで、頼まれもしないのに、外人らしい強い口調で自分の意見を主張するようなことをしたら、きっとその人はみんなから避けられる存在になってしまうと思います」

「ハーフというバックグラウンドを持つ人は、一見のんきに暮らしていそうな人でも、薄氷の上を歩くような慎重な態度が要求されるんです。ちなみに私は何度も薄氷を踏み抜いて、ドボンと落下したことがあります・・」

「人種的な序列!」

もしあなたの片親が黒人系の人だったら、より悩みは深くなりそうです。

2015年にミス・ユニバース・ジャパンに輝いた宮本エリアナさんは、アフリカ系アメリカ人の父親を持っています。彼女は褐色の肌のために、子ども時代にずいぶんといじめられたそうです。

また、本年度のミス・ワールド・ジャパン代表の吉川プリアンカさんは、友達から「バイ菌」扱いされていじめられていたそうです。彼女はハーフ・インディアンの血を引いています。

モーリーさんは語ります。

「もし彼女たちが白人系ハーフだったら、周囲の反応もずいぶん違っていたのではないかと思います」

モーリーさんは次のように推測します。

「日本には脈々と受け継がれきた『人種的な序列』のような概念があるのではないかと思います。その『序列』のピラミッドでは、白人が最上位に位置し、黒人が底辺に位置しています」

「若い世代の人からはそういう感覚はしだいに失われつつあると思いますが、しかし、一種の『人種的なステレオタイプ』というのはまだまだ根強く残っています」

「このステレオタイプでは、白人系は容姿端麗でクリエイティブ、東アジア系は容姿はまずまずだけど数学や科学が得意、黒人系は音楽やスポーツに秀でている、といったことが半ば都市伝説的に語られています」

「日本至上主義?」

日本のネット上で嫌われがちな民族集団として、韓国系の人々(在日韓国人)がいます。彼らのうちの多くは、日本の植民地支配の時代に渡ってきた人々(とその子孫たち)です。

彼らは数十年に渡って差別的待遇に直面してきました。彼らが嫌われている理由として、日本国籍を持たずに投票する権利を求めたり、様々な「特権的な待遇」を主張してきたためということに一因があります。

韓国系の人々の多くは、差別的待遇から逃れるために本名を名乗らず日本人的な通名を名乗ることで、自分の民族的背景を隠して生活をしています。

日本のネット上では、相手のことを「在日韓国人」と呼ぶことは「侮辱の言葉」として使われています。こうした言葉は、相手の不誠実な態度に対して過剰な批判が集中したときに、しばしば投げかけられるものです。

モーリーさんは語ります。

「多くの日本人にとって、外国人やハーフの人と日常的に接する機会が、あまりないのだと思います」

モーリーさんは、日本人が抱く外国人へのステレオタイプの中に、差別的な意図や悪意は存在しないと信じているようでした。

今回蓮舫さんは、自身への批判が集中する中でこう述べました。「私は常に日本人として政治に携わってきました。それ以外の行動をしたことなど一度もありません」


参考サイト・参考文献:
参考「Japan’s opposition chooses female, half-Taiwanese leader Renho」, BBC NEWS(2016)

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