認知行動療法 – 自分嫌いを直すための5つのステップ!

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selftalkphoto by KellyP42

自分が嫌いだといろいろ辛いことが多いのです。

何をするにも自信がなくて、人と仲良くするのを避けてしまったり、ちょっと怒られただけで落ち込みまくったり、心に余裕がなくて優しい言葉をかけられなかったり、なんだかもうどこに行ってもやっていけない逆の自信でいっぱいになります。

このままでは社会生活に支障をきたしてしまうので(というかもうきたしているので・・)、なんとしても自分にはもう少し自分を好きになって頂きたいものです。

先日CNNに良い記事が載っていました。自分に悪い言葉を投げかけるとどんどんマイナス思考になっていき、やがてそれが習慣化してしまうというものです。記事にはこの悪い習慣を抜け出すための5つの思考法が書いてありました。

以下、メンタルヘルス問題に詳しいジャーナリスト、サラ・エリザベス・リチャーズさんが語る「自分嫌いを直す5つのステップ」です。このステップを踏めば、私も自分大好きっ子に生まれ変わることができるのでしょうか。

ネガティブな言葉が悪循環を呼ぶ!

エリカ・バートレットは自分にひどい言葉を投げかけながら人生を過ごしてきました。

「私は可愛くない!」「誰も私のことなんて好きになってくれない!」「デブスすぎて鏡を見ただけで割れる!」

彼女は自らの自尊心の低さに苦しんで、どんどん体重を増加させてしまいました。そして、彼女は体重のことを気に病んでさらに自尊心を傷つけてしまうという、いわゆる悪循環の状態に陥ってしまっていました。彼女は24才の時点で、100キロを軽く超す体重になっていました。

あるときバートレットのお母さんがガンで急逝しました。そのときからです、バートレットは自分の健康のことや人間が死ぬことについて真剣に考え出しました。

彼女はある目標を立てました。それは、彼女の母が好きだったカターディン山(標高1500m)に登山をして、頂上から母の遺灰をまくことでした。彼女は数年かけてダイエットをして、60キロもの減量に成功しました。しかし、痩せてスリムになった彼女は、それでもまだ自分が嫌いでした。

「二の腕の皮がぶよぶよでキモイ!」「全然健康的に見えない!」「やっぱり自分は醜い!」

彼女は今39才、ソフトウェア・アナリストの仕事や健康管理のコーチの仕事をしています。当時の自分を振り返って、彼女はこう語ります。

「自分にネガティブな感情を持つことは本当に疲れるんです。自分を非難するのはとてもエネルギーを使う行為なんです」

ネガティブ思考をポジティブ思考に変える方法!

人間のストレス研究をしているモート・オーマン博士は語ります。

「ネガティブな気持ちで自分に悪い言葉をかけ続けると、ストレスでしだいに不安や抑うつにさいなまれるようになります。また、破壊的な衝動にとらわれて過食に走ったりもします。これらの行為が習慣化されると、身体が自然にそれを繰り返してしまうようになります。脳に一連の行動パターンが刻み込まれてしまうのです」

人生を悲観的に考え続けてしまうことは、人の心を強く縛りつけます。しかし、その習慣を変えることは意外とそんなに難しくありません。以下のステップを踏む事で、自分にネガティブな言葉をかける習慣を断ち切って、ポジティブな言葉とともに良き人生を歩むことができるようになります。

ステップ1「自分の思考パターンを知る!」

オクラホマのカウンセラー、ジェフ・リッゲンバッハ博士はこう述べます。

「何が自分をネガティブな考えに陥れてしまうのか、それを明らかにすることが重要です。ネガティブな考えを打ち払う最も有名な方法は、認知行動療法です。認知行動療法の基本概念は、『思考は感情に影響を与え、感情は行動に影響を与える』ということです。認知行動療法の目標は、自分を悪い考えに向かわせる思考の習慣を理解して、その習慣を修正し、より健康的な習慣を新しく生み出すことです」

ではステップ1です。まず、最近一番落ち込んだエピソードを思い出してみてください。例えば、「パーティーに誘われたけど行くのがとても嫌だった」といったことです。そして、それが嫌だと感じる原因となった気持ちを考えてみてください。「自分は綺麗じゃない」「自分は社交的じゃない」「自分は詰まらない人間」こういった気持ちでしょうか?そのせいでパーティーでヤケになってお酒を飲みすぎてしまったりしたのでしょうか?

まずはこういった状況を思い描いてみて、その原因となった気持ちを考えてみてください。自分の思考パターンを把握することは、その思考パターンを修正し、次回からその悲劇を回避することに役立ちます。

ステップ2「別の可能性を想像してみる!」

さてステップ2です。ここで一つゲームをしてみましょう。

例えばあなたが「自分は絶対痩せることができない」と考えていたとしましょう。それと逆のことを言ってみるのです。「自分は絶対痩せることができる」と。

そして、今あなたが思い描いたポジティブな考えを実現するための手段をいくつか考えてみましょう。そして推理してみましょう「これが本当に起きうるかどうか」ということを。

「本当に起きうるかどうかを考える」このステップがとても重要です。ただ「自分はダイエットに成功する」と言い聞かせるよりも、自分が初めに持っていたネガティブな固定観念を切り崩すために、いろいろな理屈を探してそれを検証してみることです。これが自分の考え方を変えるためにとても効果的なのです。

ステップ3「白か黒かで考えるのを止める!」

ステップ3です。「いつもそう」とか「絶対そう」といった言葉使いをしていないか、考えてみましょう。こういった言葉は、あなたの認知の仕方や考え方を歪めて、自分の人生に何が起きているのか、正しく理解するのを妨げてしまいます。

ありがちな例はこうです。「自分は絶対成功できない」とか「努力したっていつも台無しになる」とかです。

「自分にはなにも出来ないし、やる価値も無い」「さっきカップケーキを食べてしまったから、もうダイエットはご破算になった」とかもそうです。

カウンセラーのリッゲンバッハ博士は語ります。

「私は皆さんにもっと柔軟な視野でものごとを見るように勧めます。『今日失敗したとしてもまた勉強しなおせばいいじゃないか、今日は10日間の勉強期間の初めの1日目だったんだ』といったようなポジティブな考え方です」

ステップ4「最悪のシナリオを思い描いてみる!」

ステップ4です。あなたの不安感をかきたてるネガティブなことを、「漠然としたイメージ」によってあれこれと考えるのは止めにしましょう。思い切って映画のように正確にそのビジョンを想像してみるのです。極端な有り得ない状況は抜きにして、実際に起きうるリアルなシナリオを思い描いてみるのです。

以前ボストン大学で次のような実験が行われました。不安障害を抱えている学生20人と、健康な精神状態の学生19人を集めて、繰り返し「ポジティブな考え・ネガティブな考え・普通の考え」を想像させてみて、その内容を比較検討してみたのです。

その結果、不安障害を抱えている学生は自分に起きうるネガティブな出来事について、あまり詳細に説明することができませんでした。一方、健康的な学生たちは、その出来事について詳細に説明することができたのです。

臨床心理学の研究をしているジェイド・ウーはこう述べます。

「不安障害を持っている人は、将来に対してとても漠然とした抽象的な悪いイメージを抱え込み、そのことを不安に思う傾向があります。そして、彼らはその不安を解決する具体的な対処方法を考え出すことができないのです」

「もしあなたがお金のことで心配されているならば、次のようなことを想像してください。あなたは机に突っ伏して、山積み請求書と一緒に涙を流しています。そして、ひとしきり泣いたあとは何をするでしょうか。請求書の内で一番やっかいなものを分類して、支払いのための勘定を始めるのではないでしょうか」

「このように最悪と思われる現実をリアルに想像すると、それを対処しようとする行動も見えてきて、不必要な悪い感情にさいなまれることもなくなります」

「ダイエットについても同じです。カップケーキを余分に食べて、ダイエットが台無しになったとしましょう。しかし、ダイエットは明日も続きます。余分に食べてしまった分は明日頑張って挽回すればいいのです」

ステップ5「ソクラテス式問答法で問いかける!」

ステップ5です。ソクラテス式問答法というものがあります。ソクラテスが弟子に質問を投げかけることで弟子の批判的思考を促し、弟子自身でその誤りを気付かせるという問答法です。

最近オハイオ大学で次のような報告がありました。

精神科のセラピストにこのソクラテス式問答を質問され、自らの考え方を変えるように促された患者は、しだいに抑うつの感覚が減少したというのです。これは16週間の認知療法セラピーに参加した抑うつを抱える患者55人のアンケートによって分かったことです。

例えばセラピーの患者が次のような話をしたとしましょう。

「私は離婚をしてしまいました。私は駄目人間です」

セラピストは次のように返します。

「でも、離婚をした人はみんな駄目になってしまうものでしょうか、誰か離婚をした人でうまくやっていけている人を想像できますか?」

この問いかけにより、ネガティブな思考パターンに陥ってしまっている患者に、自分の考えに対して批判的な目を向けさせることができるのです。

さいごに

100キロからのダイエットに成功したエリカ・バートレットは変わりました。彼女は自分の考え方をリフレーミングして、ネガティブな考え方をポジティブな考え方に置き変えることができるようになったのです。

彼女は自分の体を嫌っていましたが、この体を使ってもっと楽しいことができることに気付きました。

「私の体はブヨブヨしててちょっと変だけど、でも私は他の人とハグしあうこともできるし、美味しい食べ物を食べることもできるし、散歩もできるし、砂遊びもできます。私には神様がくれた贈り物がまだたくさん残っています」

どうでしょうか。このように、あなたがネガティブな考えを良い考えに変えることができれば、もっとエネルギーに満ちた人生を送ることができるのです。

まとめ!

以上、サラ・エリザベス・リチャーズさんが語る「自分嫌いを直す5つのステップ」でした!

「認知の歪みによって人は自分をネガティブにとらえてしまいがちになる。認知の歪みに理性的な目を向けることでそれを矯正し、ポジティブな考えに改善していくことができる」といったことなのでしょうか。認知行動療法の考えに基づくとても実践的な方法を教えてもらいました。

行動療法には「第一世代」「第二世代」「第三世代」という三つのフェーズがあるそうです。

第一世代の行動療法は、人間の「行動」に着目して不適応な行動を引き起こす経験・体験を再学習することに重点をおく方法。
第二世代の行動療法は、人間の「認知」に着目して悪い感情を引き起こす不健全な認知の歪みを修正することに重点おく方法。
第三世代の行動療法は、人間の「注意」に着目して不安の対象にたいして上手な注意の向け方を学ぶことに重点をおく方法、といった説明がなされています。

サラさんの方法は、自分でも「認知行動療法」と説明している通り「認知の歪み」に焦点を当てた第二世代の行動療法といった区分になるのだと思います。

最近グーグルが社員たちに勧めていることで有名になった「マインドフルネス」という方法がありますが、これは第三世代の行動療法です。

不安の対象を注視するわけでもなく、心に押し込めるわけでもなく、座禅や瞑想によって適切な意識を向けることで不安との上手な付き合い方を学んでいくという、何ともミステリアスな心理療法です。

第三世代の行動療法もとても興味深いので、そういう記事を見つけたら紹介してみたいと思います。


参考サイト・参考文献:
参考「How to kick negative self-talk to the curb」
参考wikipedia「認知行動療法」
参考「行動、思考から注意へ ―行動療法の変遷とマインドフルネス(Mindfulness)―」,久本博行,関西大学社会学部紀要,第39巻 第2号(2008)

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